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平成15年度知っておきたい主な事業 特別編

トヨタ自動車株式会社の本社機能一部移転(「豊田・毎日再開発ビル」(仮称)2007年春全面オープン)など、近年、注目を浴びる名古屋駅。その集客力を増すように、さらに、ここから伸びる鉄道の整備が進んでいる。名古屋駅から、名古屋市の南端、名古屋港の金城ふ頭までを24分で結ぶ「あおなみ線」だ。これまで「西名古屋港線」と呼ばれていた西臨港貨物線が、延伸、旅客化されて新たに生まれ変わる。

開業の予定は平成16年10月上旬。開業まで8ヶ月と迫った。以前(庁内報平成15年2、3月号)にも沿線の様子などに触れたが、今回から2回、あらためて、この「あおなみ線」の概要や現況、今後の整備スケジュールなどを紹介する。

待望の旅客鉄道、「あおなみ線」

「あおなみ線」は、名古屋市西南部を南北に貫く、この地域初の旅客鉄道だ。この辺りは、昔から鉄道による公共交通サービスに乏しく、市民の足となる車やバスが、かえって道路混雑を招いていた。ここでの旅客鉄道の整備は、@この混雑解消と名古屋圏内でのバランスのとれた公共交通基盤の整備、A笹島・八田・高畑、稲永・野跡・金城ふ頭などの開発拠点への対応、また、B国際港湾・名古屋港と都心を結ぶ連携アクセスの必要性などの点から、長年の懸案事項だった。

こうした状況を受けて提出された平成4年1月の運輸政策審議会答申。「あおなみ線」は、答申路線の中でも、平成20年度までに整備することが適当とされるA路線として位置づけられ、JR貨物鰍ェ運行する西名古屋港線(名古屋駅〜西名古屋港駅)を活用しながら、金城ふ頭まで延伸し、旅客線化するという現在の整備事業に至った。


路線図拡大図(PDF116KB)
事業主体と整備区間
名古屋の「N]の字を、波と二本のレールをモチーフにシンボライズした同社の社章

事業主体は、名古屋臨海高速鉄道株式会社。平成9年12月、官民18団体(現19団体)により設立された第三セクターで、同月、第一種鉄道事業免許を取得した。設立時の30名ほどの体制も、今は倍となり、今後、開業に向けて運行部門の補充等により拡張していく。

整備区間15.2km(営業キロ。建設キロ15.4km。)従来の単線から複線化し、臨港地区内に約4kmが延伸される。駅の計画は全部で12駅(ただし、黄金(こがね)駅は他の路線の整備状況を見ながら後に整備される予定。)

今回の旅客線化に先立って、昭和25年6月開通の西臨港貨物線のうち、中川区の名古屋貨物ターミナルから港区潮凪町の西名古屋港駅にかけての貨物事業が廃止された。しかし、名古屋貨物ターミナルまでの貨物事業は従来どおり運行され、旅客化以降は、名古屋駅から小本駅あたりまでを、貨物列車と旅客列車が同じ軌道上を走ることになる。

これまではディーゼル路線だったがこれも電化され、新たに建設される臨港地区内の区間を含め、港区内の地表部分はすべて高架化される。これにより東西方向の道路とは立体交差となり、道路交通の円滑化も期待されている。
駅配置平面図。当初計画の笹島駅は「ささしまライブ駅」となった。
≫拡大図
駅配置断面図。中島駅より南は全面高架となる。
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名古屋港管理組合の整備範囲

整備内容は、「インフラ部」と「インフラ外部」に区分できる。ここでいう「インフラ部」は、大まかに言えば、鉄道を支えるコンクリートの躯体部分(高架橋)や駅舎、「インフラ外部」は、敷設される軌道や信号通信施設、その他、車両本体などといったものだ。

インフラ外部は、全線にわたり、三セク事業として、名古屋臨海高速鉄道鰍ェ整備する。一方、インフラ部は、臨港地区外は同じく三セク事業だが、野跡駅以南の臨港地区内で、港湾管理者事業として、名古屋港管理組合がその整備にあたる。同じ臨港地区内でも野跡駅より北側など、インフラ部の三セク事業区間は残るが、一部が名古屋港管理組合に整備委託されるなどした後、名古屋港管理組合に譲渡される。

整備の棲み分けは、中々、複雑だが、公共性の強い鉄道として、各出資者間の調整と協力の賜物でもある。

事業環境の変化と運行形態の変更

こうして順調に整備の進められている「あおなみ線」も、最近では、ささしまや金城ふ頭などの沿線開発の遅れや、金城ふ頭でのイベント来場者の減少傾向などから、開業後の事業環境を心配する声もある。

そこで、名古屋臨海高速鉄道鰍ナは、開業時の需要予測を、免許取得時の8.3万人から約6.7万人に下方修正するとともに、安全な交通サービスの提供と、初期投資や運営にかかるコストの削減、収入の増加に向けた努力目標を掲げ、現在、各メニューを実行に移している。

車両編成数の見直しや運転のワンマン化などは、利用者の立場から見ても身近なところだ。車両編成は、修正された需要見込みにあわせて、6両11編成から4両8編成とされた。また、1時間当たりの運行本数は、7本から6本(ピーク時間帯。オフピーク時は4本)の予定となった。

運転方式も、当初予定していた運転手と車掌によるツーマン方式から、可動式ホーム柵やホームドアを設置して、乗客の安全に充分配慮しながらのワンマン方式へと変更された。運賃は未定だが、地下鉄並みの運賃水準が予定され、他の鉄道との割引料金や、敬老パス、ユリカなどの利用も実現に向けた検討が行われている。

事業のスリム化策は、工法の見直しから、組織の見直しを通した人員削減まで、ハード・ソフトの両面に及ぶ。今ではそれを逆手に、利用者のプラスになる力として働き始めているようだ。

親しまれる「あおなみ線」として
あおなみ線」車両イメージ
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「あおなみ線」の愛称は、昨年10月、公募された中から選ばれた。名古屋のナ、港のミ、そして海のアオとナミ。従来の「西名古屋港線」の呼び名は、公的文書などには使用されるが、市民向けには、この西名古屋港線の地の利を得たネーミングが取って代わる。

応募は2209点もの数にのぼった。「ずっと線路はあったのに、何で乗れる電車が走ってなかったのか。」沿線地域への工事説明会では、これまでの不満も今は歓迎の声として漏れる。中でも、長年、地域に根を張ってきた年配の方たちの反応がいいという。

開業まで残り8ヶ月。「あおなみ線」には親しまれる素質が十分にある。

次回は、現在の整備状況、特に臨港地区内でのその様子と、今後のスケジュールに焦点をあてて紹介する。
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