平成24年度の行政評価 外部有識者講評

ページ番号1001281  更新日 2017年10月18日 印刷 

関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科 教授 稲沢 克祐

平成23年度実施事業を対象に行われた名古屋港管理組合の行政評価について、平成24年6月26日に講評を行った。 各個別施策については、昨年度の評価でACTIONの「今後の展開方向」として記入した取り組みについて、今年度どのように対応したかがCHECKに記入されているか、という点を確認した。これらの記入については、部局によって差はあるものの、昨年度の改善事項に取り組んでいることが確認された。
また、総論として以下の3点から意見を述べた。

1 評価時期の前倒し

行政評価は、早く評価結果を出し新しい業務に活かすのが望ましいが、普通地方公共団体では、出納整理期間後の6月から7月に行政評価を行い、9月に公表を行うスケジュールが多い。その点、名古屋港管理組合においては、5月から6月の評価で7月の公表というスケジュールで昨年度と比べても3カ月ほど前倒しとなっている。これは非常に早い動きで、他都市の先進例となるものである。
また、個別施策評価と予算の連動の問題点として、評価のタイミングが遅く予算編成に活かせない点と評価事業と予算事業の項目が一致していない点の2点を昨年度指摘したが、評価時期の前倒しは、この1点目の解決に寄与するものであり大変評価できる。
一方で、2点目の評価事業と予算事業の一致に向けては、行政評価を予算編成に活用していくという目的を確認するのであれば、対応を望むところである。

2 財政規律への取り組み

昨年度の公表でも指摘したが成果とコストの考え方について、各個別施策を構成する事務事業でコスト縮小となる評価が無いのは、その個別施策全体のコストが拡大するということを示している。もし新しい歳入見込みが無く、起債に財源を求めるのであれば、これは将来世代への負担増加に関わる財政規律の問題が生じる。
世界規模の経済不況、震災というコスト拡大が止むを得ない特殊事情があるとは思われるが、一方で、財政規律を考えれば中期財政計画を作成し、コストの拡大を抑えつつ成果を向上させる姿勢を見せる必要がある。

3 予算編成と行政評価

行政評価を予算と連動させる取り組みにおいては、行政評価側での取り組みの他に、予算編成そのものの改革が重要である。予算編成改革の方向性は以下の5点が考えられる。
一つ目は規律性で、予算編成改革は財政規律の確立のために行われるべきである。そのためには中期的財政規律のために中期財政計画の策定が、単年度の財政規律のために努力して効率化し予算を残した部局に対して、翌々年度の配分額を増加するインセンティブ予算による使い切り姿勢の改革などが求められる。
二つ目は戦略性で予算編成は常に経済効率性、優先性の高い事業に予算を振り分けるべきである。名古屋港管理組合でいうと、まず個別施策評価を行うことで施策での事務事業の相対化を図り、優先性、重要性の高い事業に予算配分していく。次に二次評価で個別施策どうしの相互の評価を行う。個別施策の相対化により重点施策に対する投資を考えていく。
三つ目は合理性で、財政部局は細かい査定よりも中長期財政計画を精緻に策定することなど、できるかぎり実証可能な情報に基づいた中長期的な視点での財政規律の確立に注力できるよう、その機能を転換していくべきである。また、先述したインセンティブ予算の導入も予算編成の合理性を高めるのに有効である。
四つ目は透明性で、査定作業を、課長査定、部長査定毎などに開示していくことで透明性を確保する。普通地方公共団体の中には査定結果について住民から意見を募る自治体もある。
五つ目は参画性で、さらに一歩進んで市民が予算を提案し査定を受ける。その前提として、透明性の確保が必要であり、自治体で市民参画型予算というのは実際には難しいが、分かりやすく予算を開示する姿勢は、どの団体にも要求されている事項である。
以上、五つの方向性の内、二つ目の戦略性と三つ目の合理性の二つは、特に行政評価に結びついた取り組みで、重点的に取組むことが求められる。

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