平成26年度の行政評価 外部有識者講評

ページ番号1001267  更新日 2017年10月18日 印刷 

関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科 教授 稲沢 克祐

1 今年度の行政評価について

今後の10年間、自治体を取り巻く環境は、港湾も含め公共施設の老朽化、そして人口減少・少子高齢化というストックの問題が大きく顕在化してくるという、ストックサイクルの中にはいる。歳入の恒常的な増加が望めない一方で、特に施設老朽化の対策には大きな財源を要する。したがって、次期政策体系においては、これまでよりもさらに個別施策間、個別施策内の構成事務事業間における選択と集中とが求められることになる。こうした10年間を迎えるにあたって、行政評価の果たす役割はますます増してきていると言える。 名古屋港管理組合では、行政評価によって現政策体系の実施状況を評価し、その上で次期政策体系の策定に活用するという取組みを行った。行政評価の活用に不足を感じている自治体が多い中で、この取組みには大きな意義がある。これは、特別地方公共団体において、個別施策・事務事業の2階層で評価を実施し、その内容を計画に反映させるといマネジメントサイクルの構築に至る稀有な例と言えよう。そして、今まさに全自治体において求められている姿である。

2 現政策体系と次期政策体系との結節点となる時期の留意点

(1)目標値の設定と実績の進捗管理

目標値が設定されていてこその計画である。無論、名古屋港管理組合の現政策体系にも目標値が設定されている。次期政策体系においても同様であろう。ここで、計画の進捗管理と目標値について整理すると、「進捗管理」とは、合理的・客観的に設定された目標値に対する進捗「率」を向上させることにある。2,3年連続で進捗率に向上が見られない場合、個別施策の手段である事務事業の構成、その重点化などについて再考が求められることになる。 こうした整理の中で目標値の設定は、計画実現に向けたスタートであり、最も重要な局面である。一方で、目標値の設定は将来に向けた作業であるだけに極めて困難なものでもある。したがって、求められるのは、「現状において最大限の情報と熟考をもって設定した」という説明責任である。

(2)選択と集中

個別施策評価シートを拝見して、個別施策を構成する事務事業の重点化という考え方は、かなり浸透してきたように感じる。今後求められるのは、個別施策間の重点化という難題である。前述したように、今後、施設の老朽化、財源減少が予測される中で、24の個別施策を同じ重みで実施していくことは可能かどうかを良く考えてほしい。その上で、個別施策を相対化する姿勢を持っていただきたい。

(3)財源推計に基づいた政策体系の構築

(1)、(2)の指摘点とも関連する点として、財源推計と政策体系との整合性の問題がある。目標値の設定同様、財源推計は将来のことであるだけに難しいし、選択と集中とが図られてこその財源推計であるとも言える。いずれも難題に関わることになるものの、財源推計を背景にした計画でない限り、「絵に描いた餅」となることも否めない。計画を実効性あるものにすべく、財源推計に取り組んでいただきたい。

(4)外部要因の分析

目標値を設定する際に、当該個別施策には、どのような環境変化が予想されるかを分析しておくことが重要である。すなわち、実績値を目標値と比較する際に、実績値がどのような環境変化、特に外部要因による変化の影響を受けているのかを検討した上で、実績値に対する説明を行うということである。なお、外部要因を斟酌した説明ということは、一方で、組織の努力を明確にすることでもあることを留意いただきたい。

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