平成23年度の行政評価 外部有識者講評

ページ番号1001288  更新日 2017年10月18日 印刷 

関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科 教授 稲沢 克祐

名古屋港管理組合では、平成15年度に行政評価を導入以後、平成20年度に政策体系を策定、翌年度には政策体系に基づく新たな行政評価を導入した。その中で、個別施策評価を導入し事務事業の改善に取り組むなど、一部事務組合における行政評価の取り組みの先進事例となってきた。
その中でも、予算への連動といった行政経営改革において積み残されている課題があり、今後、これらの課題にどのように取り組むべきかを考察も含め、講評を行いたい。

1 個別施策評価の意義について(評価制度)

一般的に施策評価の意義は、長期計画の進捗管理、各施策の最適化および組織目標に向けた全体最適化、利用者などとの情報共有の3点にあるとされている。これを名古屋港管理組合で取り組まれている個別施策評価に当てはめてみると、特に、各施策の最適化および組織目標に向けた全体最適化を目指す段階的評価が有効に機能していると言えよう。
すなわち、各事務事業の「見える化」によって評価を行う事務事業評価(いわゆる部分最適)、それら事務事業を個別施策として取りまとめ相対的評価を行うことで、重点化すべき事務事業を見出す個別施策の一次評価(各施策の最適化)、さらには室・部を跨り、全ての個別施策評価をクロスチェックし、トップ(管理者)の視点から、限られたヒト・モノ・カネの資源分配を行う個別施策の二次評価(組織目標に向けた全体最適化)である。特に部長級以上の上級職員により個別施策評価を二段階に分けて行う中で、自分の所管する部署を越えて、全体最適を考える仕組みがとられていることは、先進的事例として注目に値する。

2 成果とコストの関係から見る問題点について(評価結果)

個別施策の評価結果を成果とコストの関係から見ると、コスト拡大の個別施策が複数あるのに対してコスト縮小の個別施策が無いことから、財政規律の点で懸念がないだろうか。
すなわち、このまま受け止めれば、平成23年度以降、名古屋港管理組合はコスト拡大路線を進むという意思表示と読み取れるのではないか。
このことは、新たな歳入が確実に見込めていることを示しているとも読み解くことができ、その歳入根拠が地方債に求められているとするなら、それらは後年度に負担を回すことに繋がることは改めて指摘するまでもない。
コスト拡大に対し、どう財源措置を図っていくのか、今回の評価結果と共に、それを踏まえた今後の財政収支見通しが、財政当局から示されて然るべきであろう。

3 個別施策評価と予算の連動に向けて(評価結果の活用)

個別施策評価および事務事業評価と予算編成との連動については、従来から内部的にも指摘されており、積み残されている課題と言える。これについては、ユニット(単位)とタイミング(時期)の二つの視点で取り組む他の自治体の先進事例がある。
まず、ユニットとしては、予算事業と評価事業の単位を完全に一致させてしまうことである。これは機械的に統一することができ、名古屋港管理組合においても今後取り組みが求められる。
タイミングについては、評価時期と予算編成時期がずれることが最大の問題点であり、行政評価を行う他の自治体でも多くがこの問題にぶつかっている。一つの解決策としては、「事中評価」を行うことである。事中評価とは、たとえば、22年度事業の評価が夏頃に終了したら、その後11月頃までの事務事業を取り巻く環境変化や改善改革の進捗具合について予算要求時点で評価を行い、予算要求と査定とに反映させるという方法である。

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