アントワープ・ブルージュ港 港湾概要
組織
Port of Antwerp-Bruges(アントワープ・ブルージュ港湾公社)
2022年4月28日より、アントワープ港とゼーブルージュ港の運営が合併され、「アントワープ・ブルージュ港 (略称: PoAB)」として一体運営を開始し、それに伴いアントワープ・ブルージュ港湾公社が設立されました。同公社は、公法に基づく有限責任会社で、アントワープ市とブルージュ市が唯一の株主となっており、出資割合はアントワープ市が80.2%、ブルージュ市が19.8%です。
2022年実績では、コンテナ取扱個数で全世界13位、完成自動車の取扱台数においては世界最大の港となっています。
概要
アントワープ港区
アントワープ港区は、スケルト川の河口から65キロメートルに位置しており、総取扱貨物量の半数以上をコンテナ貨物が占めています。
ベルギー国内のみならずドイツ、フランス、スイスなど欧州主要地域と水路、高速道路、鉄道で接続されており、年間約5.2万隻のバージ船が利用するなど、総合的な物流の中継地として機能しています。
コンテナ施設としては、スケルト川右岸に3ターミナル、同左岸にはドイルガンクドックに2ターミナルが存在します(MSC PSA European ターミナル (MPET)、Antwerp Gatewayターミナル (AGT) )。このうち、MPETは、年間処理能力900万TEUの欧州最大のターミナルであり、アントワープのコンテナ貨物の半分以上を取扱っています。AGTは、現在20基の自動レールマウント式ガントリークレーン(ARMG)が稼働していますが、追加で34基を2026年までに導入を予定し、2025年までに340万TEUへ機能強化される予定です。
ゼーブルージュ港区
海に面するゼーブルージュ港区は、欧州最大の完成自動車取扱量(年間約280万台)を誇るほか、LNGを主とする液体貨物や、イギリスおよび欧州大陸域内を結ぶRoRo/フェリー貨物やコンテナ貨物を取り扱う総合港湾です。
背後地である西フランダース州をはじめ欧州主要都市とは高速道路にて効率的に接続されており、同港における内陸輸送モードの半数以上はトラック輸送が占めています。また、運河を利用した河川輸送はゼーブルージュ向けのバージサービスを一部行っているものの、船型の制限が行われていることなどから利用は限定的な一方で、スケルト川河口へは海上を航行するEstuary Vessel(河口船舶)による後背地への輸送は活発に行われています。
ゼーブルージュ港区は、北海に面した外港地区、閘門内側の内港地区の2つのエリアに区分けされています。もとの海岸線より海側4キロメートルに拡がる外港地区は、埋立土地造成で作られたもので、大水深を生かしてコンテナやLNGを取扱っています。特にLNGについては、欧州最大規模のガスターミナルを有し、主要輸入拠点として機能しています。
閘門の内側部分では、キウイフルーツや水産物を始めとした食品が取扱われていますが、最大の割合を占めるのは完成自動車で、世界有数の自動車メーカーが自動車物流の拠点として利用しています。また、MLZ(Maritime Logistics Zone)と称するエリア83.5haを整備し、ゼーブルージュ港区を拠点とする物流活動及び付加価値サービスのための用地提供を行っています。
将来計画
アントワープ港区
2011から2025年の長期計画として16億ユーロ(約2,240億円)の投資を計画しています。
このうち主要なものは、ドイルガンクドックターミナルの東部同岸に位置する約1,070haの土地(サフティング開発エリア)を、物流関連用地として開発する計画があげられ、そのほか自動車生産用地や複合輸送に対応した物流施設の開発が計画されています。
さらに、コンテナ貨物のさらなる獲得に向け、既存施設の改良・最適化・効率化、新ドックの開発による年間処理能力引上げを計画しており(ECA=Extra container capacity Antwerp:2022年夏に最終決定)、2023年から2030年にかけて開発を行う予定です。欧州の資金調達プログラムCEFはこの計画に1,091万ユーロ(約14億円)の資金を提供します。
また、2021年7月に欧州委員会が発表した、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で55%削減する計画「Fit for 55」に関して、ブルージュ港区及び関係団体と水素輸入に関する実現可能調査を行う予定です。2030年までにすべてのコンテナ船、クルーズ船に陸上電力の供給を可能にする必要があることから、陸上電力インフラの拡張に大規模な投資を続けていく方針です。
ゼーブルージュ港区
ワレニウスウィルヘルムセンが2018年2月にBastenaken Westの49haの土地の利用権を取得しターミナルの面積を倍増する計画を発表しました。土地の利用期間は2043年までで、新ターミナルは900mと300mの岸壁に3バースを増設し、拡張後は世界最大のRoRoターミナルとなります。
また、将来の取扱能力の増加や商業面の活性化などを目標にしたアクションプランを定めており、旧閘門の廃止及び新規閘門の設置(現在6つの候補地を検討、2023年末に開発計画の決定、2024年に着工予定)、鉄道輸送の強化(インフラベル社が1,100万ユーロを投資)など10の項目が掲げられています。
2021年11月に開催されたCOP26で、アントワープ港、ゼーブルージュ港(現アントワープ・ブルージュ港)、チリのエネルギー省は、チリと西ヨーロッパ間のグリーン水素流通の実現に向けた協力に関する覚書を締結しました。これにより、チリで生産されるグリーン水素やその派生製品をアントワープ港区及びゼーブルージュ港区で受入れ、貯蔵し、需要に応じて他の欧州諸国へ輸送を促進します。
統計(PoAB)
2023年統計
貨物量
項目 |
合計(トン) |
輸出(トン) |
輸入(トン) |
---|---|---|---|
一般貨物 |
167,775,007 |
91,822,434 |
75,952,573 |
リキッドバルク |
88,732,639 |
36,767,938 |
51,964,431 |
ドライバルク |
14,893,406 |
5,540,317 |
9,353,090 |
総取扱貨物量 |
271,400,783 |
137,270,094 |
134,130,689 |
コンテナ取扱量
単位 |
合計 |
輸出 |
輸入 |
---|---|---|---|
TEU |
12,514,564 |
6,512,213 |
6,002,351 |
重量(トン) |
136,743,356 |
75,636,102 |
61,107,254 |
名古屋港との交易状況(2023年)
- 総取扱貨物量
- 1,857,561トン
名古屋からPoAB(単位:F/T(フレートトン))
品種 |
トン数 |
シェア |
---|---|---|
完成自動車 |
1,444,651 |
81.1 |
自動車部品 |
61,429 |
3.4 |
産業機械 |
56,153 |
3.2 |
その他化学工業品 |
4,244 |
0.2 |
ゴム製品 |
3,392 |
0.2 |
その他 |
211,203 |
11.9 |
合計 |
1,781,072 |
100.0 |
コンテナ合計:110,155トン
(個数)4,924 TEU
PoABから名古屋(単位:F/T(フレートトン))
品種 |
トン数 |
シェア |
---|---|---|
その他農産品 |
18,860 |
24.7 |
その他化学工業品 |
14,001 |
18.3 |
ゴム製品 |
10,929 |
14.3 |
製造食品 |
4,913 |
6.4 |
化学薬品 |
4,195 |
5.5 |
その他 |
23,591 |
30.8 |
合計 |
76,489 |
100.0 |
コンテナ合計:76,489トン
(個数)3,977 TEU
名古屋港コンテナ船定期航路(2024年3月現在)
寄港無し
添付ファイル
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このページに関するお問い合わせ
港営部 誘致推進課 国際渉外担当
〒455-0033 名古屋市港区港町1番11号
電話:052-654-7840 ファクス:052-654-7995
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